お隣さんのイチジク

私は無花果が大好きです。

でも、10年ぐらい前まで、意識して本物の無花果を見たことがありませんでした。

ほとんどのアメリカ人は、無花果といえば「聖書によく出てくる果物」だということと、「FIG NEWTON というクッキー」でしか知らないと思います。

このクッキーは、中に無花果のフィリングが入っている、とても有名なクッキーです。なので、アメリカ人は無花果の実を食べていて、味は知っていますが、少なくとも私の周りにいるアメリカ人は、本物の無花果を見たことがない人がほとんどだと思います。

今、我が家にスイスからの留学生が来ていますが、面白いことに、彼女も日本に来るまで本物の無花果を見たことはなかったと言いました。

私は独身の時4年間新城に住んでいましたが、その時でさえも意識して無花果を見たことがありませんでした。けれども、この20年の間に新城市が少し無花果の栽培に力を入れてきたことと、私も3人の子どもを持つ親として日本に住むようになり、食物に対する目が変わったということもあって、意識するようになりました。

そして本物の生の無花果を初めて食べたとき、本当にびっくりしました。なんと美味しいことでしょう!!!!!!!

しかも、私には軽いフルーツアレルギーがあって、ほとんどのフルーツは少量しか食べることができませんが、無花果はけっこう食べられますので、それがまた嬉しいです。

ところで、我が家のお隣さんが昔から、別な場所で無花果の果樹園をやっておられていたそうです。今ではもう、やらなくなりましたが、数年前から、ご自宅の庭の我が家との境に近いところに一本の無花果の木を植えて育てておられます。

その木がかなり大きくなりました。また、今年は特別に豊作で、うちに近いところでなっている無花果はいつでも採っていいですよと、おっしゃってくれました。

私はうわべは控えめに反応をしましたが、心の中では「やったぁ~~~!!!!!!」と叫びました。

しかし主人は、「今日もまた、ちょうど無花果を採っているところに誰かが家の前を通り過ぎた。きっと怪しんでいただろう」と言っていました。それはそうですよね。自分の土地にないものに手を出してしまっているのですもの。

採っていいよと言ってくださったお隣さんに、心より感謝しています。

今年は本当にたくさんの無花果を食べることができました。幸せです。

ところで、無花果だけではなくて、私が子どもの時のアメリカでは、ほうれん草は缶詰か冷凍しかなくて(漫画のポパイが食べている、あのイメージです)、これほど世界にまずいものが存在するのかと思うぐらい、まずかったです。(近年の健康志向により、今ではそのままの葉っぱをちゃんと見つけられるようになりました。)

でも、日本に来て、採りたての本物のほうれん草を食べて、世の中にこんなに美味しいものがあるのかと、思いました。

日本の新鮮な野菜を食べて、昔は嫌いだったのに好きになった例としては、他にも玉ねぎ、ピーマン、そしてかぼちゃがあります。

美味しいものを豊かに与えてくださるこの地に感謝します!

Fig2