2020年に学年開始時期を9月に移行することに関する提案

日本の学年が9月から始まったら、入試の時に雪が降ったり、インフルエンザが流行ったりしないだけではなく、世界各国の学年に合わせることができますので、留学したり、留学生を受け入れたりしやすくなります。

2020年のオリンピック前の最後の学期を使って、様々な学びができる「特別移行期間」を設定すれば、日本の学年開始を全国的にすべての学年において9月に移行することができるのではないかというアイデアを、しばらく前に思いつきました。昨年の暮れに、その提案の手紙を永田町と本郷に送りました。お返事はまだありませんが、みなさんはどう思われますか。その文面をここに転載します。

英語版もありますので、あわせて外国人のお知り合いにお分かちください!

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2016年12月17日

文部科学大臣 松野博一様
東京大学総長 五神真様
東京オリンピック・パラリンピック担当大臣 丸川珠代様

どりあ 山﨑ランサム
第53回外国人による日本語弁論大会
外務大臣賞受賞者
〒441-13◯◯ 愛知県新城市◯◯◯

日本の学年開始時期を9月に移行することに関するご提案

突然お手紙を差し上げます失礼をおゆるしください。

しばらく前に、東京大学をはじめいくつかの大学で、学年の開始月を4月から9月に移行する可能性についての検討がされていました。その話が進まなくなりましたが、2020のオリンピックと大学入試制度の変更を機に、日本全体の学年開始を月から月に移行してはどうかと、しばらく前から考えるようになりました。この議論を再開するという意味で、アイデアの提案をしたく筆を執りました。

まずは、その必要性についてですが、学年が桜の時期に始まるということには、ロマンがあってよろしいところもたくさんありますが、実際問題としては、4月始まりですと、入試が一年の中でもっとも交通機関が乱れ、インフルエンザ等の感染病が蔓延する1~3月になります。日本全体の学年が9月始まりになれば、大学のみならず、中学校や高校の受験も、初夏や夏の時期に行われ、上記の問題は早めの台風以外ほとんどなくなります。

また、今までも言われてきたように、9月始まりにすると、世界のかなり多くの国と似たような学年(南半球ですと後期学期)の開始時期になり、日本人が海外へ留学しやすくなるだけでなく、日本へ来ようとしている留学生が来やすくなるという利点もあります。

移行の時期として2020年がなぜふさわしいかと言うと、オリンピックの前兆として必ず起こる、全国的な熱意と様々なことへの関心の高まりを利用して「特別移行期間」を設けることができるからです。また、2020年に大学入試の制度そのものが変わりますので、この時期を試験制度を変えるだけでなく、受験の時期そのものを変えるのに利用できるのではないかと思います。

これは、大学の学年開始を移行するだけではなく、日本全国で、全学年に渡り移行するにふさわしい時期だと考えています。「特別移行期間」を設けることによって、様々な特別な勉強をする期間として利用できます。この期間に、特設授業ハンズオンで、普通の学期中にはできないようなことができる期間、そしてしいて言えば成績もつけなくていいぐらいの期間として位置づけられるかもしれません。具体的な例をあげますと:

小学生や中学生のための学びの例:

特別言語・国際理解教育: 英語や中国語、ハングルやその他の言語の集中レッスンやイマージョン教育をすることによって、若い時から外国語習得のための脳の回路を作り上げ、外国語や異国の文化に興味をもってもらう

特別スポーツ教育: スポーツを中心に、「体育」の授業を超えたレベルでの、身体や栄養についての勉強、オリンピックの歴史やオリンピックのそれぞれの競技の観戦法、歴史などを学んだりすることができる

・特別福祉教育: パラリンピックへの関心を機に、障がいのある方々の生き様や福祉的なケア、医療、看護、介護の勉強、観察、体験ができる

特別「食育」: 農作業を中心に、大きい畑や水田を自分たちで本格的に耕したり、食料を育てたりすることができ、調理の基本を身につけたりすることができる

特別郷土教育: 郷土史や地域の産物の勉強を中心に、地域に対する理解を深め、故郷に感謝する心を養う

テクノロジーやプログラミング: 小学校、中学校の時からコーディングを覚えることによって、すでに人手が不足しがちな技術的な職業に必要な能力を身につけはじめることができる

技術教育: 木工、電気、車のメンテナンス等、将来の職業や夢につながるような技術を様々な形で体験をし、身につけることができる

中学生・高校生は、例えば、上記の可能性に加え:

長期的職場体験

・小学校で上記の学びをする際に、教室でのアシスタントになる(このような生徒のために、受験した時に特別なメリットになるような制度を設けるとさらに良い)

・高校3年生はなんと言っても、新しい入試に合わせた受験勉強

大学生は:

海外での外国語研修期間としてこの3~4ヶ月を利用する

・外国語やそれ以外の訓練・オリエンテーションを受けてから、オリンピックの期間中に実際にボランティアとして活動する

・未だに必要とされているだろう被災地への支援やボランティア

これらの活動が、地域や学校に貢献するものであるなら、将来の推薦入学のための大きなメリットにもなると思われます。

小学生から大学生までが、このような勉強を、たとえ1学期間だけであったとしても、集中的にやることによって、人生に大きな影響を与えるに違いないと思います。この「特別移行期間」を利用して、日本全国の学年のサイクルを変えて行くことを提案致します(別紙表参照)。

様々な課題があるでしょうけれども、議論のたたき台として、2020年のオリンピック前の期間に全国的、全学年にわたって学年開始を月に移行することをご提案致します。

終わりに

「4年間もないではないですか」と、お考えかもしれませんが、日本人はとても賢いですので、ひとたび「やる」と決めたら、実行に移すのは迅速にできると信じます。ただ、日本人は円満にすべてのことをやろうとしますので、議論、根回し、討論などなど、「やる」と決まるまで時間がかかるのだと思います。学年開始を9月に移行するという討論が再開され、「やろう」となれば、実施は問題なくできると信じます。

付録として、この他のアイデアについての文面を添付します。

ご精読ありがとうございました。

かしこ

どりあ 山﨑ランサム

http://www.friendsdoria.com

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付録 その一

「特別移行期間」の実施に当たって、考えられるやり方のアイデアや工夫:

市町村のニーズに合わせて、例えば、ひとつの学級で1週間ずつ違う学びをし、教師が教室や学校を移動して、1週間ずつ教える、という開催の仕方もあると思われます。

または、ひとつの学校を一拠点として、例えば、第1小学校が英語イマージョンの学校、第2小学校が技術・木工を学ぶ学校、第3小学校が農業・食育学習の学校、第4小学校がスポーツやオリンピックに関する学びする学校とし、市町村の中で、この期間だけ、自分の学校以外の学校に通っていいとして、スクールバスや公の交通機関を利用して互いの学校を移動して学びをする、という開催の仕方も考えられます。

1ヶ月交代で、近くの市町村と教師を共有したり、あるいは、午前と午後で教師が交代したりできます。約3ヶ月の短期間なら地域の人がボランティアで教えてくださる可能性もあると思います。

また、例えばバスを用意して、学生が一度登校してから、自分の興味に合った学びができるように、近隣の町に移動して学ぶことができるようにするのもひとつの手かもしれません。

勉強中心に動きたい中学生や高校生には、例えば半日ずつ英語イマージョンと補修の授業をやってもいいかもしれません。

保育園・幼稚園は、いつものように子どもを預けますが、新年度が9月から始まるようにすればいいと思います。


付録 その二

現在の4月開始を廃止にした場合の課題(信頼する教育者との会話から出た課題):

・「桜と共に入学」というロマンを捨てなければなりません。

・あまり暑くない時期に新年度を始めると、特に若い子どもは体調管理などしやすいですが、それが多少困難になります。(けれども、子どもは意外と暑さに強いです。大変なのは大人かもしれません。)

・理科の教科書の課題紹介の順番を変えなければならなくなります。

・長い(6週間)夏休みの後に新学年が始まるようになると、夏休みの間の学習・宿題の見直しが必要になります。

・運動会を晩秋にやるか、春にやるか、その他の学校行事をいつ、何をやるかという見直しが必要になってきます。