外国にいながら、multiculturalな自分の子どもたちのために、できる限り自分の国・自分が育った家族の伝統を守りたいものです。その際、flexibility がキーワードになります。
我が家でもっとも日本の生活に適合させて毎年楽しみにしている伝統は、Turkey Dayです。アメリカでは、ほとんどどの家族も、毎年最低2回、家族によっては3回、親戚大勢で集まって、七面鳥を食べます。11月第4木曜日に行われるThanksgiving(感謝祭)には七面鳥が不可欠です。そしてクリスマスのお祝いの時に七面鳥を食べる家もほとんどだと思います。また、復活祭(イースター)に食べる家族もいます。(私の実家ではイースターはハムですが、これは家族によって異なると思います。)
11月の終わり、そして12月の終わりの2回。しかもポイントは、ただ七面鳥を食べるのではなく、大勢で楽しみながら食べることです。このようなお祝いをフレキシブルに守るために、我が家では毎年Turkey Dayをしています。11月23日の勤労感謝の日から、1月の成人の日の間までに、まずは近場に住んでいる知り合いのアメリカ人、国際結婚のカップル、そしてアメリカに住んだことのある日本人に声をかけます。自分より年上の家庭のスケジュールを優先的に考える年と、若いカップルのスケジュールを優先的に考えるのを、だいたい交互にやろうとしています。そうしたら毎年来られなくても2年に一回は来ることができる(特に少し遠方の)方がいます。感謝祭の日に合わせたり、クリスマスに合わせたりしようとしないで、できるだけ多くの人が来られる日にするようにしています。大勢で食べるのがポイントですもの。なので、たいがい1月に入ってからになってしまいますが、これがまた我が家独自の伝統で楽しいです。多分2008年の冬(2009年の新年)、今の家に引っ越してから、毎年このようにしていると思います。
七面鳥は、The Meat GuyもしくはForeign Buyer’s Clubから注文しています。まず大事なのは、日本の家庭用のオーブンに入るかどうかです。必ずオーブンの内側の寸法を図ってから買います。(販売者も日本の事情がよくわかっていて、ご丁寧に七面鳥の寸法も書いてあります。)私が焼いている大きさの七面鳥は、おおよそ3500円ぐらいして、必ず一緒に食べるクランベリーソースと送料を入れると5000円ぐらいになります。決して安くはないのですが、我が家だけではなく、近隣のアメリカ関係の人たちも楽しみにしている大切な伝統なので、惜しくはありません。
ターキー以外に、我が家が提供するのはターキーの焼き汁で作るグレービーソース、マッシュポテト、そしてデザートです。(デザートを作るのが大好きな私、この領域は他の人になかなか譲れないでいます!)他に来る皆さんは、野菜中心におかずを持ってきます。毎年不思議と、とってもおいしくてとってもバランスの良い、そして量がちょうど足りる食卓になります。
七面鳥はいつもパンとハーブ、玉ねぎとセロリ、そしてコンソメとマーガリンで作るスタッフィング(丸焼きの鳥の空洞を埋めるもの)を入れてから、大量の玉ねぎ(本当に大量、4-5個ぐらい)と一緒にオーブンバッグに入れて焼いています。焼き時間は2時間半ぐらいです。最初に作ろうとした時は、な~んにも知らなくて(アメリカにいる時は、いつも母親に任せていた、しかも専用のロースターがあったりする)、E-Howやユーチューブでビデオを見ながらやっていました。流し台を掃除して、袋から取り出して、血を洗い流すところから、オーブンに入れるまで、すべてビデオに頼っていました。今は何回も焼いていますので、複数のビデオから作った自分の手引を見ながら焼いていて、ほとんど迷わずにできるようになりましたが、最初のうちはこのビデオガイダンスがなかったら、焼くのを考えることさえできなかったと思います。(さすがターキーの丸焼きとなると、母親に国際電話で「次に何をするの?」と訊くのは難しいですね。)

七面鳥の肉、スタッフィング、そしてクランベリー
そして焼き上がった七面鳥を切るのは、アメリカですと必ず一家の主人の仕事です。(アメリカでは、他の時に台所に入って何かをやることがまったくなかったとしても、ご主人はバーベキューとターキーを切ることだけはやります。)(うちの人は異例で、料理が私よりも上手で、ほとんどの夕食は彼が作っていますが…!)なので、主人もターキーの切り方をユーチューブを見ながら学んだりしました。そしてこれもかなり上手になりました。アメリカではwishbone(叉骨)を切らずに取り出すのが大切なのですが、最初の2、3回はできなかったものの、今となっては切らずに毎回ちゃんと出せるようになりました。

今年のwishbone
我が家の今のお祝いには、毎年大人が12人~14人ぐらい、そして小さい子どもが2人~6人ぐらい来ます。英語教室からテーブルを持ってきて、リビングに広いテーブルを2台並べて、持っている食器をほとんど全部使ってしまいます。みんなでワイワイしゃべりながらお腹がパンパンになるまで食べます。時にはその1年の祝福を一人ずつ語ったりすることがありますが、毎年必ずそうするとは限りません。時には遊び(スゴロクやトランプ)をしたりします。でも何よりも、美味しい食べ物をいただきながらEnjoy each others’ company(互いの友情を楽しむ)をしています。
今年は久しぶりに来ることができた人、20年以上ぶりに再会した人たちもいたので、タクサンのおしゃべりをして終わりました。本当に楽しかったです。家の掃除、食事の準備、片付け…いろいろと大変な事もありますが、かけがえのない体験だと思って、毎年Turkey Dinerができることが感謝でたまりません。感謝祭に間に合わない感謝祭が、とても感謝です!外国にいながらアメリカを毎年味わえる、一年間の最高の楽しみの一つです。
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