10年に一度の、まさに期間限定の話題です。他に書きたいことがいろいろとありますが、ひとまずはこのご紹介から!
念願の「国宝 源氏物語絵巻」を見に行きました!昨日から12月6日まで、名古屋の徳川美術館で公開中!しかも、今年は徳川美術館・蓬左文庫開館80周年記念特別展で、全点一挙公開です!普通の年ですと、10日間ぐらい、2、3点を展示していますが、今年はなんと!3週間ぐらい、現存しているスベテの源氏物語の絵巻を公開しています(東京の五島美術館のものも含めてです)。
6、7年前に源氏物語を最初から最後まで読みました。(正直に言うと、最初の方では源氏が毎晩のように違う女性のところに行っているのがパターン化したのと、不品行極まりない内容に呆れて、少し飛ばしました。)もちろん、英訳で読みました。ストーリー自体は時間が経つに連れて深みが出て、私は最後の方が一番好きでしたが、何よりも、源氏物語を読んで日本文化について目が開かれたことがいくつかあったことが自分にとって感動的でした。
1.)咲いている花や旬の植物を描写しただけで読み手がすぐに季節がわかる工夫に始めて気付きました。9年前に日本に再び長期で住むようになるまでは、咲いている花にまったく関心がなかったのです。(私が全国優勝したスピーチの中でこのことについて少し触れました。)けれども、少しわかるようになってから源氏物語を読んだら、なんと!とても繊細で美しい季節感の伝わる描き方をしているではないですか。とても感動的でした。
2.)日本人の字の綺麗さへのこだわりが昔からあることがわかりました。遠く離れて、会ったことのない人の性格は、字の書き方でしか判断のしようがなかったのです。感情も字の中に表れます。タイプライターやパソコンを使うようになった現代人にはない、繊細さと貴重さを感じました。
3.)お手紙への返事をすぐに要求する性質が昔の習慣から来ているのだろうと思いました。アメリカ人はお手紙(そして今となってはメールも)の返事を書くのは、かなりルーズ、そして特に日本人に比べてはものすごくルーズで、この文化の違いに何回か困ったことがあります。お返事を持って帰る人が、回答を書くまで待っている、回答がないと帰れない、返信を書くに要するだろうと思われる時間以上が経つと人間関係が壊れたりする原因になるという光景を読んだ時に、あぁ、だから日本人はお手紙の返事をすぐに書くという文化が深く根付いているんだなぁと、とても納得が行きました。
それはともかく、源氏物語絵巻を毎年名古屋で公開しているのは、6、7年前から知っていました。900年前のものは、ヨーロッパにはあるものの、アメリカにはないので、久しぶりにとても古いもの、しかも日本で残っているもっとも古い美術品の数々が見られるだろうという思いと、久しぶりに美しいオリジナルの美術作品が見たかったので、とても興味がありました。毎年調べては、結局は時間の余裕がなかったり、インフルエンザになったりとかで、今まで一度も行けたことがなかったのです。
でも!なんと!今年調べたら全点公開しているのではないですか!?!そして、なんと!その初日がちょうど長女が興味がある名古屋の高校の公開見学会と同じ日ではないでしょうか。(まったくの余談ですが、個人の入試相談を待っている間に、パリのテロのニュースを読みながら、ボロボロに泣いていましたので、かなり怪しまれたと思われます。)(話を源氏に戻しますと)もう、チョー、チョー嬉しかったです!!行く何日も前からワクワクしていました。
そして、行った甲斐がありました!!本当に!皆様にも、おすすめです。ぜひ、行ってください!源氏物語の世界という展示や、原本の復元模写や模本、X線や赤外線で見える、下書きの様子などの展示もあって、非常に興味深かったです。また、徳川美術館蔵のものに関しては、場面ごとの英語のしおりがありましたので、とても親切で本当に役に立ちました。(本当は行く前に源氏物語そのものを再び読みたかったのですが、とてもそんな時間がなかったので、英語のしおりを見ながら思い出したりすることができたのでよかったです。)ケースの中のディスプレイの説明は日本語しかなかったので少し読むのに時間がかかって大変でしたし、絵の中の誰が誰という図も日本語のみだったのが、日本語が読めないお客様にとってはちょっと残念だと思いましたが、全体的にはとてもよかったです。
そしてその絵巻そのもの!900年前の紙製のものだと思えないぐらい、本当によく保存されていて、色あせているものの、絵のディテールの細かさ!そして人の表情や感情が、絵巻の写真でさえも伝わらないぐらい、本当にきめ細やかに描かれていて、喜びや苦しみや寂しさ、人間の基本的な感情が、何百年、何千年にも渡って変わらないものなんだなぁ~という思いが、心にジーンと伝わってきます。復元模写は元々の色がわかるためにはとても役に立ちますが、人間の顔の表情を捉えるのは、いくらそのまま写しているつもりだとしても、平安時代に描いた人の腕の方が何倍も優れていることが、比べてみて、本物を目の当たりにして、本当によくわかります。
絶賛です。10年に一度、本当に見逃してはいけない、貴重なチャンスです。皆様にも、12月6日までに徳川美術館に行かれることを心よりおすすめします!
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